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【又吉直樹原作】映画『劇場』のあらすじと感想・完敗のラストシーン考察

さて、今回は映画『劇場』について書いていきます。

『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんによる同名小説『劇場』が原作です。

行定勲監督がメガホンを取り、山崎賢人さん、松岡茉優さんを迎えて映画化します。

パンダ
パンダ
最後の部屋のシーンは痺れましたね。

映画『劇場』のあらすじ

夢を追うことはおろか、

永田は、劇団「おろか」を友人と立ち上げるも、永田の演出は酷評され観客も全然増えない。

演劇の理想を追求する永田は、現実の壁にぶつかり思い悩んでいた。

ある日、永田は同じスニーカーを履いている女性を見かける。

永田はなぜかその姿に惹かれ、初めて見ず知らずの女性に声をかける。

それが、沙希との出会いだった。

沙希は女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っていた。

声をかけられた沙希は最初戸惑うものの、永田とともに喫茶店に入ることに。

そして、次第に永田と沙希の恋が始まり、演劇に没頭しお金がない永田は、沙希の部屋に転がり込む。

二人はそのまま仲を深めていくかに思われたが――

映画『劇場』のキャスト・スタッフ

監督

監督は、行定勲監督です。

2000年、長編監督作品『ひまわり』で釜山国際映画祭国際批評家連盟賞を、2001年に『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞など数々の賞を受賞しました。

また、『世界の中心で、愛をさけぶ』は社会現象となりました。

活躍の場は映画に留まらず、舞台の演出も手掛け、第18回千田是也賞を受賞しています。

演劇を志す青年の恋愛を描く本作に、ピッタリの監督です。

キャスト

永田山崎賢人
沙希松岡茉優
野原寛一郎
青山伊藤沙莉
小峰井口理

永田を山崎賢人さん、沙希を松岡茉優さんが演じます。

二人の演技力の高さ流石で、一つ一つのやり取りに生々しさを感じました。ヒゲを生やした山崎賢人さんも魅力的な人物になっていました。

また、King Gnuの井口理さんも出演しています。天才感のある役で、井口さんと非常にマッチしていました。

映画『劇場』の感想

創作で生きていくというのは、物凄く孤独で苦しくて、修羅の道であることが生々しく伝わってきました。

ただ、どんなに苦しくても、永田はなぜか輝いているようにも見え、自身の夢をひたすらに追求する姿は勇ましい印象を受けました。

ヒゲを生やした山崎賢人さんは、いつもの爽やかさとは打って変わって、自惚れ屋でありながら常に思い悩む創作家を見事に演じていました。

「自分には才能がある」と感じたり、あるいは「才能が無いとバレたくない」と思うことは多くの人が経験していることだと思います。

本作は、創作家の自信不安が混在する状態を表現しており、そのバランスの変化によって、永田と沙希の関係性が変化していきます。

人生という舞台では常にスポットライトを浴びていたいと願い、自分の思い描く理想を地球という劇場で追求する。

それは当たり前のことに思えますが、理想と現実のギャップは想像以上に辛い。

それでも夢を追い続ける永田をどう捉えるのか。永田に対する目線が瞬時に変わるラストシーンの演出は最高でした。

【ネタバレ】映画『劇場』のラストシーンの考察

映画『劇場』のラストシーンは、原作小説とは違う仕掛けがされました。

沙希が地元で働くことを決め、アパートの荷物を片付けに来るシーンです。

二人は片付けを進めながら思い出を振り返り、永田は夢を爆発させて、沙希とやりたいことを言い始めます。

永田の夢がどんどん膨らむ中、アパートの壁が倒れ始め、実はそこが舞台上であったことが判明。

永田は舞台上にいますが、本当の沙希は観客として舞台を鑑賞しています。

ここで、永田との距離感が一気に変わることになります。急激に永田との距離が遠くなり舞台上の人間に変わるのです。

このシーンによって、永田と沙希は舞台上の人間観客という遠い立場に置かれます。

いつも掴みにくかった永田が、沙希にはもう手も届かない場所に居るように映ります。

この描写が、夢を追い続ける人と夢を諦めた人の強烈な対比になっていて、沙希が「ごめんね」と言いながら涙を流している様子は心が痛みます。

一方で、永田と観客の距離感も変わります。

このシーンによって、永田という人物を客観的に見るようになり、永田や沙希に感情移入していた状態が揺さぶられます。

最後のワンシーンで、こんなに急激な変化を演出出来るのかと感動しました。

さいごに

今回は映画『劇場』について書きました。

又吉直樹さんと行定勲監督の組み合わせで、とんでもない化学反応が生まれています。

気になる方はぜひご覧ください!