さて、今回は映画『MOTHER マザー』について書いていきます。
少年による祖父母殺害事件という実話に基づいた衝撃作です。
監督は大森立嗣監督で、主演に長澤まさみさんを迎えています。
映画『MOTHER マザー』のあらすじ
17歳の少年による祖父母殺害事件
シングルマザーの秋子は、様々な男と関係を持ちながら、働かずにその場しのぎで生活している。
秋子は息子に異常な忠誠を強いて、幼い周平は母の期待に応えようと必死にもがく。
お金を得るために息子・周平を利用して身内からお金を貰っていたが、何度も同じことを繰り返す内に、身内から見限られ絶縁状態に陥ってしまう。
社会から孤立した母子は、お互いへの依存をさらに強め、奇妙な絆は次第に高まっていく。
「私の子だから、私の勝手だ」と周平への要求もエスカレートしていき、17歳の周平を殺害事件へと向かわせる。
全てを狂わせた母親に、息子は一体何を思うのか。
映画『MOTHER マザー』のキャスト・スタッフ
監督
監督は、大森立嗣監督です。
2005年、『ゲルマニウムの夜』で監督デビューし、『さよなら渓谷』で、第35回モスクワ国際映画祭コンペティション部門の審査員特別賞を受賞しています。
その後も数多くの作品の監督を担当しています。
- 『ゲルマニウムの夜』(2005:監督デビュー作)
- 『日日是好日』(2018)
- 『母を亡くした時、 僕は遺骨を食べたいと思った。』(2019)
- 『タロウのバカ』(2019)

キャスト
三隅秋子 | 長澤まさみ |
---|---|
周平(少年期) | 奥平大兼 |
周平(幼少期) | 郡司翔 |
川田遼 | 阿部サダヲ |
高橋亜矢 | 夏帆 |
三隅雅子 | 木野花 |
主演は長澤まさみさんです。
本作における母親像は非常に奇妙な設定ですが、見事な怪演ぶりでした。
さらに、オーディションで抜擢された奥平大兼さん、幼少期の周平を演じた郡司翔さんの演技力の高さには驚きました。
母と息子の奇妙な関係性が上手く表現されていました。
脚本
脚本は、港岳彦さんです。
『僕がこの街で死んだことなんかあの人は知らない』でシナリオ作家協会主催・大伴昌司賞を受賞し、『イサク』で第四回ピンクシナリオコンクール入選を果たしています。
近年では、『宮本から君へ』などを担当しています。
- 『蜜のあわれ』(2016)
- 『あゝ、荒野』(2017)
- 『宮本から君へ』(2019)



音楽
音楽は岩代太郎さんです。
北野武さん主演の『血と骨』などを担当しました。
その他国内では幅広いジャンルで活躍しながら、海外作品も多く手掛けています。
- 『あゝ、荒野』(2017)
- 『新聞記者』(2019)
- 『Fukushima 50』(2020)
- 『殺人の追憶』(2004:ポン・ジュノ監督)



映画『MOTHER マザー』の感想
長澤まさみさんの怪演ぶりが際立つ作品でした。
母・秋子は、自由奔放に生きる親として決して立派とは思えない存在です。
また、「私の子だから、何をしようと私の勝手だ」と子どもを自分の分身として扱う自己中心的な性格の持ち主です。
そんな、一般的に憎まれるであろう秋子を演じたのが、好感度が超高い長澤まさみさんです。
私は、本作がこの配役だから成立したのだと思います。
長澤まさみさんが演じることで、無条件に秋子を否定するのではなく、周平の目線を含めた様々な視点で作品を見ることが出来ます。
親の愛とは何なのか、子どもはなぜ母を庇うのか、子どもを救う方法はなかったのか。
そういった様々な視点で作品を捉えることで、祖父母殺害事件に至るまでの複雑な過程が見えてきます。
事件の結果を見るだけでなく、その過程を掘り下げる本作を見て、それぞれ感じることがあるでしょう。
さいごに
今回は映画『MOTHER マザー』について紹介しました。
長澤まさみさんの怪演ぶりに圧倒されながら、母子の愛とは一体何なのかを考える作品です。
気になる方は、ぜひご覧ください!