さて、今回は映画『水曜日が消えた』について書いていきます。
吉野耕平監督のオリジナル初長編監督作品で、曜日ごとに性格が変わる7人の僕を中村倫也さんが演じます。
映画『水曜日が消えた』のあらすじ
ある日、水曜日の僕が消えた。
交通事故に遭い、曜日ごとに中身が入れ替わるようになった僕。
7人の僕の中で、火曜日は一番地味な性格。掃除や通院などあらゆることを任される。いつも通りの一日を終えて、来週まで眠る。
しかし、そんな日々を繰り返していた火曜日が目を覚ますと、何かがいつもと違う。
なんと火曜日の僕のまま、水曜日に目覚めていたのだ。
いつも休館だった図書館が空いている。次第に水曜日を満喫する火曜日だったが、徐々に体に異変が起き始める。
果たして、7人の僕はどうなってしまうのか。
映画『水曜日が消えた』のキャスト・スタッフ
監督・脚本
監督は、吉野耕平監督です。
短編映画で、PFF審査員特別賞をはじめ数々の賞を受賞し、2012年及び2019年に「日本の映像作家100人」に選出された経歴があります。
映画『君の名は。』にはCGアーティストとして参加する注目の映像作家です。
本作では、監督・脚本だけでなく、VFXも担当しています。
キャスト
火曜日(7人の僕) | 中村倫也 |
---|---|
一ノ瀬 | 石橋菜津美 |
瑞野 | 深川麻衣 |
新木 | 中島歩 |
高橋 | 休日課長 |
安藤 | きたろう |
主人公の火曜日(7人の僕)を中村倫也さんが演じます。
各曜日で人格が全く違うため、演じ分けるのが難しそうですが、違和感なくそれぞれの個性を表現されていました。
特に、後半の性格が何度も入れ替わるシーンは圧巻です。
主題歌
主題歌は、須田景凪の『Alba』です。
2013年、バルーン名義でボカロPとして活動開始しました。
代表曲の「シャルル」は、YouTube で約7,500万再生を記録しています。
2017年、須田景凪として活動を開始し、「teeter」をリリース。続く「porte」は、オリコンウイークリーアルバムランキングでTOP5にランクインしました。
映画『水曜日が消えた』の感想
曜日ごとに入れ替わる7人の僕、という設定がまず面白いですよね。
1人7役という超難役を、中村倫也さんが変幻自在に演じています。
正真正銘のカメレオン俳優です。
物語は、火曜日を主人公に据えて進んでいくので、設定の複雑さとは裏腹に非常に理解しやすいストーリーになっています。
たった一つ曜日が増えるだけで、これだけ新しい世界に感じられるのかと、いつもの日常がより新鮮に感じられます。
また、7つの人格の共同生活であるからこその、家の造りや工夫はどれも面白く、その空間設計も非常に楽しめます。
付箋のやり取りも特徴的で、エンドロールで繰り広げられる付箋の会話は笑いました。
後半は、意外な展開と、中村倫也さんの演技力ならではの衝撃の展開があり、そこも非常に良かったです。
日常が少し新鮮に映る、そんな作品でした。
映画『水曜日が消えた』の考察
分人主義
相手によって様々な自分になるという考え方が、分人主義です。
人の性格というのは、たった一つの確固たるものではなく、その時や場所によって変わります。
色々な友達に自分の性格を聞けば、答えがかなりバラつくと思います。
本作は、そんな分人主義的な考え方を、曜日というフレームに適用して作られた作品だと思いました。
曜日ごとに性格が変わる人はあまりいないと思いますが、ほとんどの人は相手や環境によって性格が変わります。
どこで誰と関わる時、どの性格になるのか。
改めて自分自身を見つめ直すと、本作のように日常が少し新鮮に感じられて、気分も楽になるかもしれません。
自分の中に、何人の僕・私がいるのか、考えてみると面白い発見が見つかるでしょう。
さいごに
今回は映画『水曜日が消えた』について紹介しました。
中村倫也さんのカメレオン俳優ぶりが際立つ、当たり前の日常が少し新鮮に感じられる作品です。
気になる方は、ぜひご覧ください!