さて、今回は映画『1917 命をかけた伝令』について書いていきたいと思います。
ワンカット風の演出で注目されている本作は、アカデミー賞で撮影賞や録音賞・視聴効果賞を受賞しました。その他、ゴールデングローブ賞のドラマ部門作品賞や監督賞など数々の賞レースを席巻しています。
サム・メンデス監督が祖父から聞いたという第一次世界大戦でのメッセージの伝令についての話がきっかけとなっている。
目次
映画『1917 命をかけた伝令』のあらすじ
1600人を救う命をかけた伝令
1917年、第一次世界大戦真っ只中、イギリス人兵士のスコフィールドとブレイクに重要な任務が課せられる。
「明朝までに作戦中止の命令を届けろ」
最前線にいる1600人の兵士は撤退中のドイツ軍を追撃していたが、進行先にはドイツ軍の罠が仕掛けられていた。
明朝までに伝令を済ませなければ、最前線の兵士達が犠牲になってしまう。さらに、その兵士にはブレイクの兄も含まれていた。
2人は一刻も早く伝令を届けるため危険な戦場を駆け抜ける。果たして刻々と迫るタイムリミットに間に合うのか。
映画『1917 命をかけた伝令』のキャスト・スタッフ
監督
監督は、サム・メンデス監督です。
1992年にドンマー・ウェアハウス劇場をロンドンに設立。芸術監督を務め人気の劇場に育て上げた。
1999年、『アメリカン・ビューティー』で映画監督デビューし、アカデミー賞作品賞・監督賞含む5部門を受賞した。その後は『ロード・トゥ・パーディション』や『レボリューショナリー・ロード』の監督を務めている。
また、007シリーズの『007 スカイフォール』を担当し世界的大ヒットへ導き、続く『007 スペクター』の監督も務めている。
キャスト
スコフィールド上等兵 | ジョージ・マッケイ |
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ブレイク上等兵 | ディーン=チャールズ・チャップマン |
スミス中尉 | マーク・ストロング |
ブレイク中尉 | リチャード・マッデン |
エリンモア将軍 | コリン・ファース |
マッケンジー大佐 | ベネディクト・カンバーバッチ |
レスリー中尉 | アンドリュー・スコット |
ジョージ・マッケイさんは、映画『ピーターパン』で映画デビュー。『はじまりへの旅』や『マローボーン家の掟』などに出演した経験がある。ディーン=チャールズ・チャップマンさんは、『リピーテッド』で映画デビュー。人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演している。
その脇を、ベネディクト・カンバーバッチさんやコリン・ファースさん、マーク・ストロングさんなどが固める。
スタッフ
撮影を担当したロジャー・ディーキンスさんは、『ショーシャンクの空に』でアカデミー賞撮影賞に初ノミネートされ、14度目のノミネートとなった『ブレードランナー2049』で初受賞を果たしたハリウッドを代表する撮影監督。本作で2度目のオスカーを獲得した。
編集を担当したリー・スミスさんは、『ダンケルク』でアカデミー賞編集賞を獲得。本作では放送映画批評家協会賞編集賞を獲得している。
映画『1917 命をかけた伝令』の感想
本作が「ワンカットなのか、そうじゃないのか」ということが公開前に物議を醸していましたが、そんなことは全く気にならない程の圧倒的な没入感で驚きました。
全編ワンカットという表現は正確ではありませんが相当の尺を長回ししており、加えてどこでカットを挟んでいるのかほぼ気づきませんでした。
当初からワンシーン・ワンカットで見せる事が計画されていたため、準備期間に相当の時間がかかったそうです。演者のセリフや動きに合わせてセットを作ったり、自然なトランジションを実現するためにどこでカットをかけるかということまで事前に綿密に考えられています。
実際に作品を鑑賞すると全く違和感の無い繋ぎ目に感動しました。きっと何も言われなかったらカットがかかったとは思わなかったでしょう。
そして、そこから生まれる没入感は格別で本当に戦場にいるような臨場感を味わうことが出来ました。
作品自体が面白いことはもちろんですが、この映画に携わったキャスト・スタッフが一丸となって完成した事が伝わってきて、これほどエンドロールに感動したのは初めてでした。
映画『1917 命をかけた伝令』の考察
没入感を生み出す舞台
本作の最大の特徴であるワンカットの演出が、没入感に寄与していることは言うまでもありません。
しかし、その他に没入感に寄与する大きな要素があったように思います。
それは、舞台設計です。
濠や狭い通路など観客の視点が限定されるような設計になっていると感じました。視界を限定することで大きいスクリーンでも観客の目線を集中させ圧倒的な没入感を生み出していました。
一方で、広大な草原や戦場が映し出されるシーンもあり、スケールのデカさや戦争の悲惨さを伝えるとともに、観客の緊張感を和らげていました。
その舞台設計のさじ加減もまた本作のポイントと言えるのではないでしょうか。
さいごに
まるで戦場にいるかのような感覚を味わえ、圧倒的な没入感に驚くことでしょう。
ワンカットの衝撃は絶大です。
気になる方はぜひご覧ください!