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【ニュータイプ】映画『37seconds』のあらすじと感想・考察

さて、今回は映画『37seconds』について書いていきます。

ベルリン国際映画祭で、パノラマ観客賞と国際アートシネマ連盟賞W受賞という史上初の快挙を成し遂げた作品です。

既にハリウッドからもオファーが来ているというHIKARI監督初の長編映画作品です。

パンダ
パンダ
HIKARI監督の今後が楽しみすぎる!

映画『37seconds』のあらすじ

たったの37秒で…

障がいを抱えた主人公・貴田ユマは漫画家である親友のゴーストライターとして活動している。

自立を願うユマは自作のアダルト漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長に「リアルな体験が無いと、良い作品は描けない」と一蹴されてしまう。

ある時ユマは障がい者専門の娼婦・舞と出会い、外の世界を知っていく。しかし、過保護な母はユマの行動に激怒しスマホを没収。ユマの行動は制限されてしまう。

そんな毎日を息苦しく感じていたユマは、遂に母から抜け出し街へ飛び出す。ユマは様々な人と出会い、自分が今まで知らなかった事実を知っていく。

今までの世界から抜け出したユマは、何を感じるのか。

映画『37seconds』のキャスト・スタッフ

監督

監督は、HIKARI監督です。

南カリフォルニア大学院映画芸術学部での卒業制作映画『Tsuyako』で監督デビューし、DGA・米国監督協会の最優秀女学生監督賞など合計50賞を受賞しました。

これまで2013年のファンタジーアドベンチャー短編映画『A Better Tomorrow』 や2014年の『キャンとスロチャン』など短編映画を制作しています。

2015年のダンス短編映画『Where We Begin』は第14回トライベッカ映画祭で最優秀短編映画ノミネーションを含む合計8賞を受賞しました。

キャスト

貴田ユマ佳山明
貴田恭子神野美鈴
渡辺真起子
俊哉大東駿介
藤本板谷由夏

主演の佳山明さんは、身体に障害を持つ女性達を日本全国で一般公募し、約100名の応募者の中からHIKARI監督に見出され主役に抜擢されました。

ユマと同じく出生時に数秒呼吸が出来なかったために脳性麻痺となり、社会福祉士として活動していたため本作が演技初挑戦となります。

上記のほかに、ユマの親友役として萩原みのりさんが出演しています。

映画『37seconds』の感想・考察

HIKARI監督に度肝を抜かれました。

今までの障がい者を扱った映画とは違い、序盤から明るく美しい映像や主人公のヌードに驚かされますですがユマと母親のやりとりから、どうやら本作はただ障がい者を扱うだけでない普遍的な話なのだということが徐々に分かってきます。

母の愛情と子どもの自立心がすれ違って親子関係がもつれていく様はどんな家庭でも見受けられる事でしょう。

本作は「親離れしたい子ども」vs「子離れ出来ない親」という対立から、障がいの有無に関わらず、身の回りにある制限との戦いという普遍的な話を説いているのです。

誰かに止められたり、年齢や時間的な理由があったり、怖くて踏み出せなかったりと様々な行動を制限する”障がい”が身の回りには溢れています。

しかし、女編集長・藤本が「障がいがあろうがなかろうが自分次第よ」とユマに言ったように、結局最後は自分次第なのです。そんな中、「宇宙から見れば、私達の人生なんて夏休みの宿題くらいなのかな」という言葉は挑戦心が湧き上がる印象的なフレーズでした。

また「あの建物、顔に見えない?」と言ったユマには普段から誰かに見られている感覚が強いのだと思います。SNSが発達した現代では、多くの人が見られている感覚を強く抱いているのではないでしょうか。だからこそ、俊哉がエマの車椅子を押すように誰かの挑戦を優しく後押しするような存在でありたいなと感じました。

様々な事に果敢に挑戦していくユマはカッコ良いですし、映画を見ればユマから勇気をもらえる事でしょう。「私で、良かった。」と自分を受け止めて前向きに挑戦したいと思わせてくれます。

一方、ユマが親友の漫画家から搾取されたり、双子の姉が感じていた怖さを吐露するなど障がいにもしっかり焦点が当てられています。

HIKARI監督がそのリアルさと映画としてのエンターテイメント性を見事に両立させた事が凄すぎて、感動が止まりません。

さいごに

映画『37seconds』は間違いなく邦画界に名を刻む作品になるでしょう。

新進のHIKARI監督と、演技未経験ながら主役を務めた佳山明さんは光輝いていました。そして、鑑賞した人が自分自身に光を感じられるような作品です。

気になる方はぜひご覧ください!