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【今、手紙の理由】映画『ラストレター』のあらすじと感想・考察

さて、今回は映画『ラストレター』について書いていきます。

数々の名作を生み出してきた岩井俊二監督が、自身の出身地宮城を舞台にしたラブストーリーを描きます。

パンダ
パンダ
今だから気づく手紙の良さってあるよね。

映画『ラストレター』のあらすじ

行き違いのラブレター

裕里の姉・未咲が亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の娘・鮎美から姉宛ての同窓会の案内を受け取る。

未咲の死を知らせるために同窓会へ行った裕理は、初恋の相手・鏡史郎と再会。さらに裕理は姉と勘違いされたまま同窓会に出席することに。

その後、裕里は姉のふりをして鏡史郎と文通を始める。だが、一つの手紙が鮎美に届いてしまい、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の初恋の思い出を辿りだす。

偶然彼らを繋いだ手紙が未咲の死の真相、それぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていき、遂に鮎美は美咲が残した最期の手紙を読み始める。

映画『ラストレター』のキャスト・スタッフ

監督・脚本

監督は、岩井俊二監督です。

1993年『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』がテレビ作品にも関わらず、日本映画監督協会新人賞を受賞します。

1994年『undo』で映画監督デビューを果たし、1995年には『Love Letter』で長編監督デビューし社会現象を巻き起こしました。

キャスト

岸辺野裕理松たか子
遠野裕理(回想)森七菜
遠野美咲(回想)広瀬すず
乙坂鏡史郎福山雅治
乙坂鏡史郎(回想)神木隆之介
岸辺野宗二郎庵野秀明
遠野鮎美広瀬すず
岸辺野颯香森七菜

広瀬すずさん、森七菜さんは鮎美と颯香に加えそれぞれの母の回想シーンの一人二役を演じます。

特に森七菜さんの演技力の高さには脱帽しました。

また、『新世紀エヴァンゲリオンシリーズ』で知られる庵野秀明さんが役者として登場。豊川悦司さんや中山美穂さんなども出演しています。

主題歌

主題歌は、森七菜さんの『カエルノウタ』です。

森七菜さんが一人二役に加え主題歌も担当しています。驚くべき才能です。

本曲は監督の岩井俊二監督が作詞を務めています。

映画『ラストレター』の感想

この作品は今までの文通ラブストーリーではなく、文が通らないラブストーリーです。この不思議な構図を物語として成立させる岩井俊二の発明が見事です。

手紙が持つ詩情的価値と新しい構図が混ざり合うことで心地よい空気に包まれます。ですが、ただ心地よいだけでなく後半に重い展開があるため物語全体に深みも生まれていました。

そして、広瀬すずさんと森七菜さんの演技力が非常に高い。

特に、森七菜さんは映画『最初の晩餐』での衝撃に負けないくらい本作でも凄まじく、特に物語前後半での内面の変化を仕草や口調でナチュラルに表現している所が恐ろしい。

広瀬すずさんも相変わらずの可憐さに加え、お姉さんを上手く演じています。二人が傘をさして立っているだけで、とてつもなく良い画になっていました。

岩井俊二×広瀬すず×森七菜、この組み合わせの作品をまたいつか観れると良いなと思います。

映画『ラストレター』の考察

今、手紙をやる理由

あえて今、「手紙」をテーマにするのはなぜでしょうか。SNSが浸透した今だからこそ、手紙の良さに気づけます。

本作を観ると、手紙は「空間」「時間」を行き来するコミュニケーションツールだと気付かされます。

手紙は人から人へメッセージを移動させるツールです。一方、SNSは同一空間に人が集まってメッセージを共有する場所です。

手紙が持つ移動性が時間的差異を生み出し、本作で描かれていたように「届いているかどうかの不安や届くのを待つワクワク感」を増幅させます。

また、手紙を「書く」という行為によって未来で相手が受け取る時を想像し、手紙を「読む」という行為によって過去に相手が書いていた時を想像することになります。

だからこそ相手への想像力が働き、手紙を用いたコミュニケーションには温かみを感じやすいのではないでしょうか。SNSが発達した今だからこそ、過去と未来を含めた相手への想像力を持っていたいと感じます。

さいごに

今回は映画『ラストレター』を紹介しました。

SNS社会だからこそ、手紙をテーマにした作品が面白く見えるかもしれません。

気になる方は、ぜひご覧ください!