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【テレビの闇】ドキュメンタリー映画『さよならテレビ』のあらすじと感想・考察

さて、今回は映画『さよならテレビ』について書いていきます。

東海テレビ開局60周年記念番組として制作されたドキュメンタリー「さよならテレビ」に新たなシーンを追加した劇場版です。

東海地方限定で放送されたにも関わらず、赤裸々過ぎる内容・演出が大反響を呼び、全国の映像制作者に広まった作品です。

今まで再放送も配信しなかった衝撃作が映画になりました。

パンダ
パンダ
半ば諦めていた『さよならテレビ』を観れる喜びは半端ない!

映画『さよならテレビ』のあらすじ

テレビに存在意義はあるのか?

お茶の間の中心には、いつもテレビ。

民間放送は膨大な広告収入を背景に、様々な情報や娯楽を提供して驚異の視聴率を誇るマスメディアの王様、だった。

今や、多くの若者がテレビを見なくなりテレビ離れが叫ばれ、遂には「マスゴミ」と揶揄される。

ダントツの人気者から凋落したテレビに、一体何が起こっているのか。現役テレビマンが自社の報道部にカメラを入れた。

すると、普段撮る側の報道部が撮られる事に何故か憤り、派遣社員は自らの境遇に葛藤していて、放送事故に翻弄されたキャスターはずっと思い悩んでいた。

1年7ヶ月、長期に渡りカメラを回して見えてきた組織の闇と葛藤する個人を、テレビの内部から赤裸々に描き出す。

映画『さよならテレビ』のスタッフ

監督

監督は、圡方宏史監督です。

1998年、東海テレビに入社し、制作部・報道部を担当。2013年『ホームレス理事長 退学球児再生計画』でドキュメンタリー映画を初監督します。

『震災から3年~伝えつづける~』で第52回ギャラクシー賞CM部門大賞・ACC賞ゴールド賞を受賞し、『戦争を、考えつづける。』でACC賞グランプリを受賞しました。

2016年公開の監督第2作『ヤクザと憲法』も大反響を呼んでいます。

ギャラクシー賞とは?

ギャラクシー賞は、1963年に放送批評懇談会が創設した日本の放送文化の質的向上に貢献した番組・個人・団体を表彰する賞

審査は放送批評懇談会会員から選ばれた選奨事業委員会が担当し、テレビ、ラジオ、CM、報道活動の四部門制で年間の賞を選出します。

プロデューサー

プロデューサーは、阿武野勝彦さんです。

1981年、東海テレビに入社し、アナウンサーを経てドキュメンタリー制作へ。

主なプロデュース作品として『とうちゃんはエジソン』や『裁判長のお弁当』があり、両作ともギャラクシー大賞を受賞。また『光と影〜光市母子殺害事件 弁護団の 300 日〜』では、日本民間放送連盟賞最優秀賞を受賞しました。

これまで多くの劇場公開作を担当しています。

音楽

音楽は、和田貴史さんです。

株式会社Dimension Cruise代表で、自身の音楽制作ユニットBeagle Kickとしても活動しています。

NHKスペシャル「巨大災害 MEGADISASTER」やアニメ「テラフォーマーズ・リベンジ」、「七つの大罪」などを担当した経験があります。

音楽プロデューサーは、岡田こずえさんです。

映画『マルサの女』やアニメーション映画『時をかける少女』、『サマーウォーズ』など多くの作品を手がけ、これまで東海テレビ作品にも多く携わっています。

映画『さよならテレビ』の感想

自己否定的な『さよならテレビ』というタイトルに衝撃を受ける本作は、赤裸々にテレビの闇を描いています。

まさに圧巻のドキュメンタリーであり覚悟を感じる作品です。テレビ史上最悪のスキャンダルとも言われる「セシウムさん騒動」についても掘り下げるほどです。

タイトルからは、「今までのテレビを放り捨てて、これからのテレビを考える」という意志を感じました。

テレビが映すモノは何なのか。テレビが世論に影響を及ぼす側面はありますが、テレビもまた「視聴率」という指標が絶対視される以上視聴者に固執しています。

本作は、伝えたい事がある「個人」と視聴者に引っ張られる「組織」の対立構造を描いています。

ただ、この対立構造で描く構成もテレビ的なモチーフの一つです。

この自己矛盾的プロセスを作品の中で繰り広げて辿り着くラストシーンは、グサッと刺さります。

結局、テレビが変わるには視聴者が変わるしかありません。そして視聴者を変えるにはテレビが変わるしかない。

テレビが映しているモノは、本当に現実と言えるのか。一人の視聴者として反省しつつ、このドキュメンタリーには微かな希望を感じました。

【ネタバレ】映画『さよならテレビ』の考察

視聴率に一喜一憂

テレビ局の敵は、他のテレビ局です。

このドキュメンタリーでは視聴率の順位に固執する様が何度も描かれます。実際、テレビ局を見学すると、視聴率が書かれた紙がエレベーターホールなどに掲示されていることが分かります。

その紙には、「視聴率○%」という数字だけでなく、「民放局○位」や「同時間帯○位」のような順位が書かれます。

当然ですが、そんな競争の中で視聴率を取るためには視聴者の興味関心があるテーマを放送しなくてはなりません。ただ、報道番組内で視聴者が興味のあるテーマとは食べ物などの生活ネタが中心です。

さて、報道に課せられた役目とは何でしょうか?

東海テレビ報道局では、以下の3つの指針が掲げられています。

  • 事件・事故・政治・災害を知らせる
  • 困っている人(弱者)を助ける
  • 権力を監視する

他局との競争に勝つ事が目的ならば生活ネタを放送すれば良いでしょう。しかし指針に従うなら政治や経済など様々な情報を提供する必要があります。

インターネットが十分に普及した今の社会でテレビに求める情報はどんなものなのか、今一度考える必要があると感じました。

弱さが持つ力

テレビ局は「テレビ離れ」が叫ばれる現代でも、自身の影響力を自負しています。一方で影響力が失われる恐怖にも怯え、身動きが取れずに思い悩んでいます。

テレビが今後復活する事は出来るのでしょうか。

それは、自身の弱さを見せられるかどうかに懸かっているのかもしれません。見栄っ張りよりも素直に弱さを見せる方が可愛がられる事があります。

テレビ局はもちろん、普段SNSに触れる人なら誰にでも通じる事だと感じます。

さいごに

今回は映画『さよならテレビ』を紹介しました。

テレビ局がテレビの闇を描くという異色のドキュメンタリーで、テレビ業界人のみならず誰でも通じる感覚があります。

最近テレビを見なくなった人にもオススメしたい作品です。

気になる方は、ぜひご覧ください!