映画

【階段島の正体】映画『いなくなれ、群青』のあらすじと感想・考察

さて、今回は映画『いなくなれ、群青』について書いていきます。

河野裕さんの青春ファンタジー小説『いなくなれ、群青』が原作で、唯一無二の世界観と心に刺さる美しい文章が多くのファンを魅了しています。

映画でも、その魅力はそのままに圧巻の映像美と深いテーマが心に刺さる作品に仕上がっています。

パンダ
パンダ
映像の美しさと、階段島の正体のギャップが非常に面白い

映画『いなくなれ、群青』のあらすじ

幸せから最も遠く、不幸からも遠い島〈階段島〉

何者かに捨てられた者が集まる〈階段島〉。

主人公・七草は、気がつくと何故かこの島に辿り着いていた。

この島から出る方法はたった一つ、失くしたものを見つけ出すこと。

最初は自分がこの島に来た理由を疑問に思う七草だったが、誰もが安定した日常を送っているこの島にすぐに慣れていった。

しかし、七草の幼馴染・真辺由宇がこの島にやってきて状況は一変する。

この島の不合理に納得できない真辺は、島に潜む謎を真っ直ぐに追い求めていく。そんな真辺に七草も巻き込まれるうちに、徐々に島の真相が浮かび上がってくる。

真相が明らかになった時、そこには予想外の結末と現実があった。

映画『いなくなれ、群青』のキャスト・スタッフ

監督

監督は、柳明菜監督です。

アメリカの高校留学中にバッカイフィルムフェスティバルのオハイオ州優秀賞を受賞しています。

映画『今日という日が最後なら、』では、現実世界と連動するクロスオーバーフィクションという手法を使い海外でも注目を集めました。

今作も、小説の世界観をそのままに、美しくみずみずしい映像に仕上がっています。

キャスト

七草横浜流星
真辺由宇飯豊まりえ
矢作穂香
佐々岡松岡広大
水谷松本妃代

七草役を横浜流星さん、真辺由宇役を飯豊まりえさんが務めます。

横浜流星さん、飯豊まりえさんともに本作のキャラクターに抜群にマッチしていて驚きました。

主題歌

主題歌は、歌手のsalyuが務めます。

映画『リリィ・シュシュのすべて』のLily Chou-Chouとして活動をスタートし、2004年にソロデビューを果たします。

映画『いなくなれ、群青』の主題歌『僕らの出会った場所』は音楽プロデューサー小林武史さんが描き下ろした楽曲です。

映画『いなくなれ、群青』の感想

どうしようもなく、美しい映画です。

幻想的な映像美、華麗な言葉の響き、清らかな音楽。様々な要素の中に説明し難い美しさが宿っています。

特に青と緑を基調とした映像は特徴的です。赤をほとんど入れていない所が個人的なポイントで、階段島の脇役的な役目が象徴的に現れていたと思います。

ですが圧倒的な映像美と比較して、後に明かされる階段島の真実は美しさとかけ離れたものでした。美しさと階段島の正体のギャップがまた最高です。

そして、横浜流星さん演じる七草と、飯豊まりえさん演じる真辺由宇がキャラクターに合いすぎて驚きました。小説のイメージ通りのキャスティングだと思います。

階段島には色々な謎が散りばめられているのですが、しっかり種明かしを後半にしてくれるので、やや難解ながらも理解することが出来るでしょう。

映像、キャスト、脚本などしっかり作品にハマっていて、細かい点まで良く考えられている作品だと感じました。

この作品の美しさ、余韻はきっと色褪せずに残り続けることでしょう。

【ネタバレ】映画『いなくなれ、群青』の考察

自分を捨てるとどうなるか

階段島の正体、それは捨てられた人の島というものでした。

さらに他人に捨てられたわけではなく、自分自身に捨てられた者の島、すなわち自分の捨てたい人格が集まった島なのです。

この点は、小説家の平野啓一郎さんが提唱した分人主義を念頭におくと、本作のテーマがより理解しやすくなるでしょう。

分人主義とは、一つの人格で一人の人間が出来ているのではなく、様々な人格の集合体で出来ているという考え方です。私達は場合に応じてそうした人格を使い分けて暮らしていると言えます。

階段島はその中の嫌いな部分だけが寄せ集められた島なのです。そうすることで、好きな部分だけになった現実の自分は自信を持ち幸せな生活を送れるはずです。

ですが、そもそも人格がその人の中に存在するのは、それがその人にとって必要な人格だからです。決してランダムで決められたわけではありません。

嫌いな人格を捨てることで、また不具合が生まれ本来好きだった性格が嫌いになってしまうかもしれません。そうするといずれは無人格に辿り着きます。

さらに、様々な人格の集合体として自分を規定するなら、その一部を捨てることは自分自身を否定することに繋がってしまいます。

その後の人生では常に、本来の自分では何も出来ないという自己嫌悪に囚われるかもしれません。

嫌いな部分も抱きながら、何とか障壁を乗り越えていくことが成長に繋がる。そうして人間は一段ずつコツコツと階段を上がっていくのだと、改めて感じることが出来ました。

さいごに

今回は映画『いなくなれ、群青』を紹介しました。

艶麗な青春の風景に潜む真実は衝撃でした。この映画は観た人にきっと大きなインパクトを与え、心に残り続ける作品になると思います。

気になる方はぜひご覧ください!