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【雨の役割】映画『天気の子』のあらすじと感想・考察

さて、今回は映画『天気の子』について書いていきます。

前作の『君の名は。』が歴史的な大ヒットを記録しさらなる注目を集めている新海誠監督の最新作です。

本作もRADWIMPSのエモーショナルな楽曲とアニメーションの鮮やかな美しさが際立ちます。

パンダ
パンダ
『君の名は。』よりも、新海監督の作家性が出ている作品だね

映画『天気の子』のあらすじ

これは、僕と彼女だけが知っている世界の秘密についての物語だ

高校生の帆高は、離島から家出をしフェリーで東京へ向かっていた。

豪雨で激しく揺れるフェリーの中で、帆高は須賀圭介という男に助けられ名刺を受け取った。

東京に着いたものの生活はすぐに困窮し、警察官に声をかけられてしまう。

補導の危機を感じた帆高は何とか警察を振り払い逃げ切ったが、このままでは生活していけないと思い、フェリーで出会った須賀を訪ねることに。

事務所に着くと須賀とアシスタントの夏美がいて、半ば無理やりオカルト雑誌ライターとして働き始める。

そんなある日、雨が降る中で帆高は一人の少女・陽菜と出会った。

陽菜は帆高をビルの屋上に連れていき、何かを祈り始める。その祈りによって雨が上がり光が差し込んでくる。

正真正銘の「晴れ女」を目の当たりにした帆高は、新しいビジネスを開始する。

陽菜やその弟と協力しながら様々な依頼をこなしていくが、やがて東京は異常気象に見舞われてしまう。そしてある夜に、陽菜から信じられない話を聞かされる。

翌朝、目を覚ますと陽菜はいなくなっていて、遂には警察に捕まってしまった。

様々な危機が押し寄せる中、陽菜を連れ戻したい一心で、帆高は天気が崩壊した東京の中を走っていく。

映画『天気の子』のキャスト・スタッフ

監督

監督は、新海誠監督です。

2002年、『ほしのこえ』一人で監督脚本演出・作画・美術編集などを行い製作しましたネット上で話題を呼び、第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門・優秀賞など多数の賞を受賞しています。

また、2004年の初長編作品『雲のむこう、約束の場所』は、第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞ハウルの動く城』やイノセンス』を抑えて受賞します。

その後、『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などを製作し数々の賞と高い評価を受け、遂に『君の名は。』で歴史的な大ヒットを記録しました。

キャスト

森嶋帆高醍醐虎汰朗
天野陽菜森七菜
須賀圭介小栗旬
須賀夏美本田翼
天野凪吉柳咲良

帆高役を醍醐虎汰朗さん、陽菜役を森七菜さんが演じます。

醍醐虎汰朗さん、森七菜さんともに2017年に俳優・女優デビューしているため、本作での大抜擢が非常に話題になっています。

その他、小栗旬さんや本田翼さんなどの人気俳優、梶裕貴さんや花澤香菜さんなどトップ声優が脇を固める超豪華キャストになっています。

また、前作『君の名は。』のキャラクターである立花瀧や宮水三葉が登場し、声を担当している神木隆之介さんや上白石萌音さんも出演します。

音楽

音楽は、前作『君の名は。』に引き続きRADWIMPSです。

主題歌『愛にできることはまだあるかい』を含め劇中の全音楽を担当します。

さらに本作では、一年のオーディションを経て三浦透子さんをボーカルに起用し、複数の楽曲を制作しています。

映画『天気の子』の感想

新海誠監督の作家性

前作の『君の名は』には、「未来を変える、未来へ向かおう」という普遍的なメッセージがありました。

それは東日本大震災など、何かと悲観的になりやすいような出来事が頻発して起きている時代に、多くの観客に刺さりやすい作品だと言えます。

実際、歴史的大ヒットを記録していることからも、普遍性を持った作品だったと言えます。

また、種明かしをしっかり行っていたので、鑑賞後にスッキリしやすい作品で誰でもオススメしやすい作品でした。

一方で、本作はより新海誠監督の作家性が出た作品だったと感じます。

法を犯すことや、東京を水没させることさえ構わないという帆高の純粋さは、狂っているようにも見えますが、帆高と社会どちらが本当は狂っているのかという問いを痛烈に突きつけます。

全員が共通した答えを出せない問いを出すという点が、前作とは違う特徴で魅力的なポイントの一つだと思います。

現実を超越したアニメーションと音楽のコラボ

新海誠監督の最大の特徴とも言えるアニメーションの綺麗さはやはり魅力的です。

本作は東京が舞台だったこともあり、よりアニメーションの凄さが際立ちました。

私達が普段認識している東京の街とは異なる色を持っていて、その魅惑的な風景に心を奪われてしまいます。

また、前作に引き続きRADWIMPSが音楽を担当していて、そのコラボレーションも最高です。

音楽を聞きながら街を歩くと気分が上がると思うのですが、この現実を超越したようなアニメーションと音楽が合わさることで、気分が跳ね上がり最高潮に達します。

新海誠監督×RADWIMPSは黄金の組み合わせかもしれません。

【ネタバレ】映画『天気の子』の考察

真実と事実、社会の流れ

『天気の子』の評価が分かれた理由は言うまでもなく帆高にあるでしょう。帆高目線で観る時と、他の目線で観る時では全く異なる印象を抱くのではないかと思います。

陽菜のためなら法を犯し、東京を水没させることも厭わない。帆高は陽菜だけを見て愚直に行動していきます。

こういった描写から、帆高は陽菜を思う純粋な青年か、それとも社会を狂わせた自己中な青年かの二つの印象に分かれるのではないでしょうか。

そして、どちらも正解だと思います。そもそも二つは対象が異なっていて、前者は感情を、後者は行動を見ています。映画では登場人物の真意が分かるので、帆高に共感する余地が残されています。

では、現実はどうでしょうか。真意を読み取ることはそう簡単では無いと思います。

例えば闇営業問題に関しても、『天気の子』に倣うと意見が割れても良いはずです。反社と絡んだ事はどうやら事実らしいけれど、もしかすると単純に人を楽しませようとしていただけかもしれません。

圧倒的にバッシングが多かったことからも、現実において真実と事実を分けて探ることの難しさが分かります。もちろん、その人の真意を完全に汲み取ることは不可能だとは思いますが。

ただ、事実から真実を恣意的に作り出さないように気をつけなくてはいけないと思いました。また、このように作り出された真実は理解しやすいがために、大きな社会の流れが生まれやすいです。

そして、そういった社会の流れに対しても無抵抗に従っていいのかを本作からも問われているように感じます。

雨の役割と東京水没の意味

帆高は陽菜のいない平穏な毎日ではなく陽菜がいる幸せな毎日を選択しますが、それにより東京は水没してしまいます。

そんな東京の街を背に、帆高は印象的な言葉を叫びます。

「陽菜さん、僕たちはもう、大丈夫だ!」

どんな環境でも2人でいれば生きていけるという自信の表れを示すセリフです。

この時の水没した東京と二人の対比は実に鮮やかだったと思います。

それは、インターネットが発達する中で、降り注ぐ雨のように世の中に監視が行き届いていると感じることが増えたように思います。

しかし、私達は本当に監視による同調圧力が膨張していく社会を望んでいるのでしょうか。本作では自分達の願いを諦めない主観的な判断を取ることも重要なのではないかということが一つのポイントになっています。

ラストシーンは、同調圧力に屈して水没した東京と、自分達の願いだけを考えて突き進んできた二人を誇張して対比する最高のシーンだと感じました。

そういった意味で、最後のセリフは観客に対して、同調圧力から脱することを後押しするようなセリフでもあったと思います。

さいごに

今回は映画『天気の子』を紹介しました。

実は作中には、『君の名は』の瀧君や三葉など皆が知っているであろうキャラクターが随所に登場しますので、探しみて下さい!

気になる方はぜひご覧ください!