さて、今回は映画『新聞記者』について書いていきたいと思います。
本作は東京新聞記者・望月衣塑子氏のベストセラーである『新聞記者』を原案に描くオリジナルストーリーとなっています。主演は人気俳優松坂桃李と韓国の人気女優シム・ウンギョンです。
権力とメディアをテーマに日本社会の裏側をあぶり出す前代未聞のサスペンスエンターテイメントです。
映画『新聞記者』のあらすじ
真実とは一体…
匿名FAXで東都新聞に極秘文書が届く。その内容は、医療系大学新設計画に関する極秘情報だった。
その大学新設計画を記す文書に不可解な点を発見した記者・吉岡は真実を求め調査を開始する。
一方、官僚の杉原は内閣情報調査室で働いていた。そこでは政府に不都合な情報をもみ消し現政権を守っていた。杉原は自分の信念と異なる仕事に悩む日々を送っていた。そんな時、杉原が尊敬していた上司・神崎が自殺する。
やがて吉岡と杉原は出会い、調査を重ねる中でFAXに秘められた大きな闇が明らかになる。愛する家族を背に、2人は真実を報道しようとするが。
映画『新聞記者』のキャスト・スタッフ
監督
監督は藤井道人。
映像ディレクターとしてCMやPVを手がけ、大学卒業後はフリーランスで活動。
2014年に公開された『オー! ファーザー』で商業映画監督デビューを果たし、2018年公開の『青の帰り道』や2019年公開の『デイアンドナイト』などを担当した経験があります。
キャスト
新聞記者・吉岡エリカ役を韓国の人気女優シム・ウンギョンが務め、内閣情報調査室の官僚・杉原拓海役を松坂桃李が演じます。
ともに韓国・日本で絶大の人気を誇り、両国を代表する俳優の共演に注目です。
また、杉原の妻役として本田翼が出演しています。
主題歌
2005年に結成したアコースティックバンドでOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDの名称で活動していましたが、2019年にOAUへバンド名を変更しています。
映画『新聞記者』の感想
よく、ここまで正面から向き合ったなと思いました。
日頃、何となく「この情報は怪しい」と思うことはあっても、真実まで辿り着くことは中々ありません。むしろ情報が溢れる現代では、一つ一つの情報をよく吟味する機会が減少している気がします。
一つのニュースを巡って繰り広げられる個人、政府機関、メディアの攻防に足を踏み入れることで、普段入手する情報に対して見方が変わるのではないでしょうか。
また、松坂桃李とシム・ウンギョンが凄く良いです。
特に後半の松坂桃李の朦朧としたような表情は胸が苦しくなるほどリアルで、吉岡を演じるシム・ウンギョンも記者としての意志の強さを感じさせます。
最後に、本作の最大の魅力は余韻です。
ラストシーンが衝撃的すぎて体感したことのない余韻が続きます。
エンドロールが始まって数秒間無音が続く構成も見事です。放心状態になり、この映画が頭から離れなくなるでしょう。余韻のエグさは近年の邦画界でNo.1です。
【ネタバレ】映画『新聞記者』の考察
黒目の羊
極秘文書と共に送られてきた羊の絵が真実を見つけ出す大きな鍵になります。
なぜ羊なのか映画を見れば分かりますが、この羊には他の意味もあると感じました。
この羊の特徴が大きな黒目です。
この目は現代社会への警鐘であると感じます。
情報が溢れ次々に流れてくる現代では、情報を吟味する機会が減りそのまま鵜呑みにしてしまう人も増えているような気がします。
このような状況では、情報の提供者あるいは操作者によって簡単に世間をコントロールすることが出来てしまいます。
盲目・節穴になってはいけないというメッセージなのではないでしょうか。情報社会だからこそ、個々の情報の受け止め方には気を配るべきだと思いました。
さいごに
この映画『新聞記者』は若い人ほど観てほしい作品です。
情報に対する接し方、姿勢など多くのことを学び活かせる機会になると思います。もちろんエンタメとしても楽しめます。
ぜひ、本作を観てエグい余韻をお楽しみ下さい!